🧬 生物の完全解説
先に学ぶこと
- 細胞の構造と機能(cells.html)
📌 この単元を終えると
- 生命体の7つの共通特性を具体例と共に説明できる
- 光合成と細胞呼吸の反応式を書き、2つの過程を比較できる
- メンデルの法則で遺伝形質の遺伝比率を計算できる
- 自然選択説をもとに進化の過程を説明できる
🌱 なぜ生物を学ぶのか?
直感的に理解しよう
すべての生命活動はエネルギー変換の連続です。ATP(アデノシン三リン酸)は細胞のエネルギー通貨で、食物がATPに変換され、そのエネルギーで筋肉収縮やタンパク質合成が行われます。
生物学は生命の作動原理を理解する学問です。なぜ人は眠らなければならないのか、がん細胞はどのように増殖するのか——光合成を理解すると食料問題と脱炭素が見えてきます。現代医学・農業・環境科学の核心はすべて生物学です。
⚡ 30秒サマリー
- 生命の特性:細胞構成・物質代謝・刺激反応・成長・生殖・遺伝・進化
- 光合成:6CO₂ + 6H₂O + 光エネルギー → C₆H₁₂O₆ + 6O₂(葉緑体)
- 細胞呼吸:C₆H₁₂O₆ + 6O₂ → 6CO₂ + 6H₂O + ATP(ミトコンドリア)
- メンデルの法則:優性・分離・独立の法則。Rr × Rr = 3:1
- 進化:変異+自然選択 → 適応 → 種分化(ダーウィンの自然選択説)
1. 細胞生物学
細胞説
- すべての生物は1個以上の細胞からできている。
- 細胞は生命の基本単位である。
- すべての細胞は既存の細胞から生じる(細胞分裂)。
原核細胞と真核細胞
| 特徴 | 原核細胞 | 真核細胞 |
|---|---|---|
| 核 | 膜に包まれた核なし | 核膜に包まれた核あり |
| 大きさ | 小(1〜10 μm) | 大(10〜100 μm) |
| 細胞小器官 | 少ない・膜なし | 多くの膜に包まれた小器官 |
| 例 | 細菌、古細菌 | 動物・植物・菌類・原生生物 |
主な細胞小器官
- 核:DNAを含む。「司令塔」
- ミトコンドリア:細胞呼吸によりATPを産生。「細胞のエネルギー工場」
- リボソーム:タンパク質を合成。粗面小胞体上または細胞質中に存在
- 小胞体(ER):粗面ER(タンパク質製造)、滑面ER(脂質製造)
- ゴルジ体:タンパク質を修飾・仕分け・輸送。「郵便局」
- 葉緑体:(植物細胞のみ)光合成を行う。クロロフィルを含む
- 細胞膜:リン脂質二重層。半透膜。物質の出入りを制御
- 細胞壁:(植物細胞のみ)セルロース製の硬い外壁
- 液胞:貯蔵。植物細胞の大きな中心液胞は膨圧を維持
2. 光合成と細胞呼吸
光合成
6CO₂ + 6H₂O + 光エネルギー → C₆H₁₂O₆ + 6O₂
- 光反応(チラコイド):光エネルギーを吸収、H₂Oを分解、ATPとNADPHを産生、O₂を放出
- カルビン回路(ストロマ):ATPとNADPHを使いCO₂を固定してグルコースを合成
- クロロフィルは赤と青の光を吸収し、緑の光を反射(植物が緑に見える理由)
細胞呼吸(好気呼吸)
C₆H₁₂O₆ + 6O₂ → 6CO₂ + 6H₂O + ATP(約36〜38分子)
- 解糖系(細胞質基質):グルコース → 2ピルビン酸。正味2ATP産生
- クエン酸回路(ミトコンドリアマトリクス):ピルビン酸 → CO₂。NADH・FADH₂産生
- 電子伝達系(内膜):NADH・FADH₂から約34ATPを産生。O₂が最終電子受容体
3. DNA・遺伝子・タンパク質合成 共通テスト
- DNA(デオキシリボ核酸):二重らせん構造。遺伝情報を保存。塩基:A・T・G・C
- 塩基対の規則:A-T、G-C(DNA);A-U、G-C(RNA)
- 遺伝子:タンパク質をコードするDNAの一区間
- 転写:DNA → mRNA(核内)
- 翻訳:mRNA → タンパク質(リボソーム上)。コドン(3塩基)がアミノ酸を指定
4. 遺伝の法則(メンデルの法則) 共通テスト
基本用語
- 優性(顕性)遺伝子(A):1つのコピーでも形質が現れる
- 劣性(潜性)遺伝子(a):2つのコピーがあるとき(aa)にのみ現れる
- 遺伝子型:遺伝子の組み合わせ(AA、Aa、aa)
- 表現型:実際に現れる形質
- ホモ接合:同じ対立遺伝子(AA または aa)
- ヘテロ接合:異なる対立遺伝子(Aa)
❌ よくある間違い — 優性=「良い遺伝子」?
優性(顕性)遺伝子は劣性より良い・強い・一般的である
「優性」はヘテロ接合体(Aa)で表現される形質を指すだけで、健康・強さとは無関係
例:ハンチントン病(神経変性)は優性遺伝、鎌状赤血球貧血症は劣性遺伝。優性=有益ではありません。
分離の法則(メンデルの第1法則)
生殖細胞形成時に対立遺伝子が1つずつに分かれる。
Aa × Aa の交配
表現型比:優性:劣性 = 3:1
A a
A|AA|Aa|
a|Aa|aa|
遺伝子型比:AA:Aa:aa = 1:2:1A|AA|Aa|
a|Aa|aa|
表現型比:優性:劣性 = 3:1
🏛 概念の誕生
ダーウィンは1831年のビーグル号の航海でガラパゴス諸島のフィンチのくちばしが島ごとに異なることを観察し、自然選択説の着想を得ました。20年の研究の末、アルフレッド・ラッセル・ウォレスが同じ考えに独立到達したことを知り、1859年に種の起源を発表。ダーウィンの理論はメンデルの遺伝学と結合し、1940年代に現代総合説(新ダーウィニズム)へと発展しました。
5. 進化と自然選択
ダーウィンの自然選択説の4つの前提
- 個体間に変異がある
- 変異の一部は遺伝する
- 個体数は資源を超えて増殖→生存競争が起こる
- 有利な変異を持つ個体は生存・繁殖しやすい(適者生存)
進化の証拠
- 化石記録:時代とともに形態が変化することを示す
- 相同器官:形は違うが共通祖先に由来する器官(ヒトの腕・イルカのヒレ・コウモリの翼)
- 分子生物学的証拠:生物間のDNA類似性が進化的関係を示す
練習問題
1. 光合成の反応式を完成させなさい。
6CO₂ + 6H₂O + 光エネルギー → _____ + 6O₂
→ C₆H₁₂O₆(グルコース)
2. メンデルの法則を使って遺伝の問題を解きなさい。
丸形(RR)× しわ形(rr)の親の交雑でできるF₁の表現型は?
→ すべて丸形(Rr:優性形質の丸が現れる)。F₂の比率は 丸:しわ = 3:1。
3. 次のうち動物細胞にあって植物細胞にないものを選びなさい。
(A) 核 (B) ミトコンドリア (C) 中心体 (D) リボソーム
→ (C) 中心体(植物細胞には細胞壁・葉緑体・液胞はあるが、中心体は通常ない)
6CO₂ + 6H₂O + 光エネルギー → _____ + 6O₂
→ C₆H₁₂O₆(グルコース)
2. メンデルの法則を使って遺伝の問題を解きなさい。
丸形(RR)× しわ形(rr)の親の交雑でできるF₁の表現型は?
→ すべて丸形(Rr:優性形質の丸が現れる)。F₂の比率は 丸:しわ = 3:1。
3. 次のうち動物細胞にあって植物細胞にないものを選びなさい。
(A) 核 (B) ミトコンドリア (C) 中心体 (D) リボソーム
→ (C) 中心体(植物細胞には細胞壁・葉緑体・液胞はあるが、中心体は通常ない)
生物学習のポイント: 光合成と呼吸の反応式は正確に覚えましょう。遺伝の問題は表(パネット方格)を書いて解くと計算ミスが減ります。細胞小器官は名前と機能をセットで覚えましょう。
🔗 次の概念へのブリッジ
生物が現在の大陸分布の中でどのように多様に進化したのだろうか?
プレートテクトニクスで大陸が分裂すると、生物集団が孤立してそれぞれ独自に進化した。地球科学は生物多様性の地理的背景を解き明かす鍵だ。
地球科学へ🔓 マスターするとアンロックされます
生物学は地球科学・化学・医学の交差点です。細胞と遺伝の原理を学んだ今、生態系全体のエネルギーの流れと進化の地理的背景へ視野を広げることができます。
試験直前 5分チェックリスト
- セントラルドグマ DNA→RNA→タンパク質(方向注意)
- 体細胞分裂: 2n→2n / 減数分裂: 2n→n
- 優性・劣性: 両親が劣性なら子も必ず劣性
- 光合成: 光+CO₂+水→グルコース+O₂ / 細胞呼吸: 逆反応
練習問題
入門 Q. ATPからエネルギーが放出される時の反応を述べよ。
答えを見る
ATP → ADP + Pi(無機リン酸)+ エネルギー。リン酸結合が切断されることでエネルギー放出。逆反応でエネルギー貯蔵。
応用 Q. 光合成の反応式を書き、反応物と生成物を示せ。
答えを見る
6CO₂ + 6H₂O + 光エネルギー → C₆H₁₂O₆ + 6O₂。反応物: 二酸化炭素と水。生成物: ブドウ糖と酸素。
発展 Q. DNAの「半保存的複製」の意味を説明し、なぜ遅伝情報が正確に伝わるか説明すること。
答えを見る
原来の2本鎖がそれぞれ鴷形調になり新しい鎖を合成。娘細胞のDNA = 原来の鎖½ + 新しい鎖½。過誤なしに遥伝情報を伝える仕組み。
エビングハウス忘却曲線に基づく復習
学んだ内容を長期記憶に定着させるには、間隔を空けて繰り返し復習しましょう。
翌日
3日後
1週間後
1か月後